2000/03/18 神奈川県中津川上流

朝9時に金沢キャンプ場に到着した。解禁直後の混雑を予想して来たのだが、釣り人は私の他に誰もいない。あんなに混雑していた解禁日がうその様である。川の水に手を入れてみるがそれほど冷たくない。しかし水量は少なく、魚が好みそうな大きな淵がほとんど見当たらない。深場にとりあえずキャストしてみるがなんの反応もなく、人もいないが魚もいないのか・・・と不安にさせられる。お昼までの3時間キャストし続けたが小魚さえも姿を見せなかった。

午後になって気温も上がり、水面がきらめいている。しかし強風が辺りの木々を揺らし、釣れそうなポイントにはびっしりと落ち葉が覆ってしまっている。ミノーをキャストしてもフックに落ち葉がからんでとても釣りにくい。
 
Taki ミノーを残念そうに見つめる25センチのヤマメ


滝の手前に大きな落ち込みがあり、すごい勢いで白泡が立っている。かなりの深さがあり、普段なら魚影を確認できる場所である。若干あきらめの気持ちでキャストしたのがいけなかった。
気がついた時には黒い大きな物体が私のミノーに食らいつこうとしている瞬間であった。ググッ!その後すぐにプツン!急に軽くなり、空しきミノーが足元に帰って来た。誰もいない渓に私の声が響いた。「でかかったのに!!」 後の祭とはこの事か。
もう一度キャストすると、そいつは大岩の底から一瞬顔を出したがすぐに引っ込み、それっきりであった。40センチはあったと思う。逃がした原因はふたつ、気持ちが上の空だったこととフックを研いでいなかったことだ。

魚は必ずいる。うぶな小魚達は釣りきられてしまったが、大物は深場の底でじっとしている。ぶつぶつ言いながらフックを研ぐと、ふらふらと歩き出した。
相変わらず風は強い。木々が揺さぶられ、折れた枝が崖から滑り落ちる。すぐ近くで鹿の鳴き声が聞こえ、鳶が頭上を旋回している。
 土曜日だというのに・・・誰もいない


忍者の様に崖を這い上がり、しばらく行くと堰堤からの落ち込みに出た。そこですべてを賭けることにした。いきなりロングキャストせずに、近場から細切れに攻めてゆく。水がとても澄んでいるので日陰のポイントがねらい目だ。それから太陽を背にしてはいけない。ルアーを追ってきた魚が突然泳ぐのを止めてじっと私を見つめ、そそくさと引き返してしまった経験が何度もある。ルアーフィッシングはリールを巻いたり、ロッドアクションを加えたりと腕の動きが派手なので小渓流では餌釣り以上に気を遣う必要がある。

コンクリートの太いパイプから水が力強くあふれ出ている。白泡が切れたポイントにキャストしてチョンチョンと軽くアクションを入れてやる。時々魚が食いつく時間を与えながらミノーを躍らせつつスローリトローブで引いてくる。すると私の足元からミノーめがけて突進して行くやつがいる。力強い引きでロッドがしなる。確かな魚信とともに上がってきたのは25センチのヤマメであった。フックを念入りに研いでいたのでしっかりと突き刺さっていた。本日はこの1尾のみであったが、基本を見直しつつ楽しい釣りができたと思う。