2000/09/02 布川近況



朝7時、河原に立つと異常な暑さを感じた。いくら拭いても汗が止まらない。最近の釣果がおもわしくないので、一番実績のあるこのポイントを選んでやって来たのだ.。しかしこの暑さは渓流魚にとっても、たまったものではないだろう。早速、水量と水温を確認するべく水際に立ち、水面を見てびっくりした。渇水にもかかわらず、何十、いや何百という魚が確認できる。まるでここは管理釣り場ではないかと錯覚するほどの魚の群れであった。

震える腕を抑えつつキャストするとブルブルとロッドが応えた。ここ数ヶ月味わうことの無かった大物の感触に、アドレナリンが湧き出てくるような快感を覚えた。ここはパラダイスだ!! しかし次の瞬間、夢はあっけなく打ち砕かれる。白い巨体を震わせて必死にミノーを振り払おうとするそいつはウグイだったのだ。水面に見えた大群も、すべてウグイだったのである。 布川は寒バヤで有名な川であるし、以前、潜って大量のウグイを確認した場所もあったが、毎年通うこのポイントでこの様な光景を見たのは初めてだった。


上流にあるキャンプ場から流れてきた洗剤の泡が淵に溜まって渦をまいている。水は澄んでいるがドブの匂いがする。川に訪れる人の数と水の汚れ具合は比例するという悲しい現実がこの川にも迫っているようだ。その上この暑さで川底の至る所に藻が発生しており、キャストしたミノーにも絡み付いてくる。とても釣りづらいなかを、ヤマメの顔を見たい一心で昼過ぎまで粘ったが、結局姿を見ることはなかった。

ちょうど77年前の昨日は関東大震災であった。不幸にも地震の中心部となったのはヤビツ峠であり、そこを源流とする布川の渓流魚は絶滅したと言われている。しかし様々な人の努力によってここまで回復したすばらしい渓谷が、再び破壊されることのないよう祈るばかりだ。