2001/6/30自作フックにきた布川のイワナ


ルアーを製作するのはたいへんな作業である。一回のコーティングには8時間以上を要し、その作業を何度も繰り返す。製作途中で色流れや型くずれを起こすこともある。また、外見がきれいに仕上がっても、完璧にスイムするとは限らない。実際にフィールドに出てキャストして、そして釣れてこそ気づく事実も多い。

今回はフックにこだわってみようと思った。市場に流れている多くのフックは他魚種との兼用も多く、ヤマメ、イワナ専用のものは少ないはずである。しかし渓流魚のアゴは意外に固い。普段は市販のダブルフックにヤスリをかけつつ釣っているのだが、はじかれて悔しい思いをすることも多い。鋭く、強度があり、しかも魚にやさしいフックこそが渓流用ではないか。今回使用したのは、ヤマメ餌釣り用細針を使って自作したダブルフックである。これなら硬い渓流魚の口も鋭く捕らえるだろうと考えたからだ。


6時前にはフィールドに立っていた。降り出したばかりの雨が渇水ぎみの布川に鋭気を与えている。チャラ瀬に立ちこんで小さな窪みにミノーをキャストしていると、数人の釣り人が上流から下って来た。どうやらこの場所はすでに先行者が探った後のようである。できれば一番乗りが良いのだが、私はあまりこだわらない。首都圏の川では難しいことだし、同じフィールドでも餌釣り師となら共存できると考えているからだ。なぜならば私がターゲットとしている魚は岩にピッタリと張り付いて、落ちてくる虫や淀みに集まる小魚をじっと狙って待っている。そんな魚は川虫を食べない。また、ウェーディングしにくい場所に潜んでいることが多いので、接近しない限り彼らはアングラーの立ちこみによって逃げることはない。ただ自然相手の釣りには例外も多く、この話しも定説とはなりえない。だからこそ釣りは面白いのである。


淵の対岸からこちら側まで大きく木がそり出している。生い茂った木の葉から足元までクモが巣を作っており、先行者によって壊された後もない。餌釣りには厳しい環境なので諦めたのだろうか。釣りにくい環境をそのまま残すというのは釣り場確保や魚の保護的見地からも良いことだ。最近では釣りにくいからといって沈み木や流木を排除してしまう人がいる。しかし、そのような場所こそが魚の絶好のすみかであり、釣れるポイントでもあるのだ。自然をあるがまま残し、釣りたければテクニックを磨くことだと思う。

ミノーを振り込むと、水面と木の葉の間にスッと吸い込まれて行った。・・・ということはなく、何度か木に引っ掛かり、危うくロストかという思いをした後うまい具合にキャストできた。20センチほどのイワナがガツンとアタックしてきたが衝撃が大きい。タックルはいつもと同じなので、細身の自作フックのせいなのか。今回は20センチ前後が3尾しか釣れなかったので結論を出すには早すぎるが、太いフックよりも面白い。そして、一度フックに触れた魚は確実にゲットできる(たぶん)。それに根掛かりしてもフックは変形するが楽に回収できる。欠点は肝心のTaki-minnowの動きが非常に良くないことだ。いつもの市販品フックに変更すると「水を得たミノー」になるのが悲しかった。しかも偶然にアタックしてきた魚を取り逃がしている。いずれにしても最大の不安は大物に対応できるかということだろうが、こればかりは釣れてみないとわからない。