2001/7/19中津川をダイブミノーで攻める


先日、尺を越えるイワナが釣れて、私はたいへん満足している。しかしshin-ichiさんからのメールを見て驚いた。彼は丹沢のフィールドで39センチを2尾も上げていた。証拠写真も添付してあり、「takiさんの釣行記を読んで、いつかは僕もと思っていたんです」とのこと。しかも彼のメールには40オーバーを取り逃がしたとも書いてある。

shin-ichiさんは私と同じようにルアーを製作する趣味を持っており、ダイビングタイプも作っているという。深場攻めを考える私にはとても興味のある話だ。そこでshin-ichiさんのご好意に甘え、貴重なダイブミノーをお借りすることにした。

中津川は渇水でダイブミノーの本領を発揮する深場が少ない。しかし水深1メートルにも満たない瀬であってもロッドを立てれば問題なくリトリーブできる。shin-ichiさんはハンドメイドを始めてから1年くらいとのことだが、ミノーの泳ぎはすばらしい。電気仕掛けのように規則正しいウォブリングアクションをする。「イレギュラーな動き」や「逃げ惑う小魚を演出」するのはアングラー側が操作するもので、あくまでもミノーのそれ自身は、落ち着いた一定の動きをする必要がある。

答えはすぐに出た。白泡が深く落ち込む対岸の窪みにキャスト。ジャーキングを始めてすぐにガツンときた。この時に絶対慌ててはいけない。魚を引っ張り上げることだけに集中しすぎて、取り込みまでのプロセスを覚えていないようでは哀しい。帰宅してからじっくりと余韻に浸るためには、一部始終を記憶に留めておくことが大切だ。魚との対話はここから始まり、その後何日も続くのである。やがてその喜びが薄れた頃、次の週末を向かえ、また山に向かうのだ。

私は大物が潜む場所を知っている。そこは渇水時であっても常に2メートル程の水深が保たれ、両サイドには大岩がせり出しており、数個の底岩が点在している。何度も挑戦しているが、taki-minnowでは沈みきれないうちにポイントを通り過ぎてしまう。今までに数回針掛かりしたが、惜しくも取り逃がしていた。スプーンライクな縦のアクションや深場の釣り、鋭いフックにこだわるのもすべてこのポイントを攻略するためと言ってもよい。この場所にshin-ichiさんのミノーをキャストしてみた。

下流側の中央にウェーディングして立ち、大岩のはるか上流めがけてアップストリームキャスト。流されながらもshin-ichiさんのミノーは小気味良く動き、深く潜って行った。大岩の下からは25センチ越のイワナが何尾も飛び出してきた。その中の2尾がチェイスしてくる。すかさずロッドにアクションを加え、ミノーを踊らせる。しかし思うように動いてくれない。イレギュラーな動きで誘うことができないのである。残念ながらイワナは戻って行ってしまった。

明らかに人間の子供とは違う足跡
大自然には様々な命が融合している。
この場所には渓魚が群れていた
この3連休を無事乗り切ってほしい。

リップの角度が小さいほどよく潜り、大きいほどヒラ打ちさせやすい。ご存知の通りダイブミノーのリップ角度は限りなく水平に近い。それに対して演出効果をねらったtaki-minnowのリップは垂直に近いのである。フローティングミノーなどはその中間に位置しているもので、これを好んで使う人も多い。市販ミノーをあまり使わず、経験と偶然だけでミノーを作り続けてきた私にはそれ以上の理屈はわからない。おそらくはロッドアクションに対して素直なレスポンスのある深く潜るミノー、これをハンドメイドすることはたいへんな作業の連続だろう。しかし短い期間でここまでミノーを作り上げたshin-ichiさんならやってくれると信じている。

今回、因縁のポイントに潜む大物の顔を拝むことができなかったが、25センチ以上の成魚を何十尾も確認できた。3連休前日ということで放流されたばかりなのだろうが、このまま釣りきられずに私を待っていてほしいものである。明日からは夏休みも始まり、静かな孤独を楽しむアングラーにはいやな季節がやってきた。