2001/09/01唐沢川のヤマメ達


久しぶりの釣行だ。川原に下りると聞こえてくるのは鳥の声と沢の音だけ、水遊びをする子供達やキャンプ客の声はもう聞こえない。渇水時に発生した藻やバーベキューの残骸もすべて台風が消し去ってしまった。禁漁までの約1ヵ月間、気持ちの良い釣りができそうである。

今日のフィールドは唐沢川。険しい山間部を流れて中津川に合流している。川に沿って林道が走っていないので、積極的に放流が行われているとは思えない。魚はほとんどが天然物だろう。おそらくは愛好家の手によって放流された稚魚や卵が、ささやかに息づいているのだと思う。大切にしたい川のひとつだ。

キャンプ場前を流れる川幅1メートルほどの瀬にキャストしてみる。あっけなく反応があり、小さな18センチほどのヤマメが釣れた。その上流には堰があり、魚道の淵を歩いて登ると広い川原に出る。流れがたよりなく泥底だからといって素通りはできない。そこには尺クラスのヤマメが2尾、お互いの尾ヒレを追いかけあって円を描きながら泳いでいる。対岸に向かってキャストすると小さなヤマメ達がサッと散った。

その後も魚影はあるのだがミノーを追わない。それどころか逃げ出してしまう。岩底に隠れている魚も、人の気配を感じると忍者のように素早く逃げて行く。腰をかがめて静かに落とし込むと、一瞬顔を出すが2度と出てこない。次の滝の下でようやく1尾を仕留めた。自作の極細フックがしっかりと食い込んでいる。市販のフックを使う場合はいつも鋭く研いでいること。時間のある人は餌針を2本束ねてハンダ付けするといい。私はこの針を使ってからヤスリを使わなくなった。

この川は深い淵がほとんど無く、ポイントを絞りにくい。ミスキャストをしてしまい、とんでもない浅場にTaki-Minnowが落ちてしまった。それを回収しようと早巻きしていると大物が追ってきている。あわててロッドを振ったが、私が腕を動かし始めるよりも早く逃げ去ってしまった。彼らにとって深く身を隠す場所が無い以上、どんな場所でもポイントとなりうる。思わぬところから魚が飛び出してくるので、油断は禁物だ。

本来の渓魚とは、ものすごく繊細な生き物だったのだ。「スレている」とはまた違った難しさがある。浅く澄んだ水の中で生息している彼らにとって、外敵から身を守ることは必至だろう。彼らの生活は優雅なように見えるが、実際には始終怯えているはずだ。

小いさな沢で釣りをすると、今までのワンパターンが通用しないことに気づく。また、獲って食う気もしなくなる。私は中津川や早戸川釣行の合間をみて、年に数回この川でキャストしている。