2001/10/04 待っていた中津川のイワナ


中津川沿いに私の大好きなポイントがある。渓相は変化に富んでいて、渓流ルアーに最適な淵やタルミが多く、魚もコンスタントに釣れるのだ。釣果が思わしくなかった時や、長く釣りをしていなかった時などはここに来てリハビリキャストを繰り返し、やがて渓谷へと臨むのである。

その川原の楽園に降りるためには近くのキャンプ場敷地内を通行する必要がある。ずっと以前、ゲートを通らずに崖の小道からキャンプ場敷地内に降りて川原に出たことがある。するとすぐに管理人が飛んできて「ここは私有地である、通行料として2千円徴収する」と言ってきた。その時は「いやだ」と断ったのであるがマナーが悪かったと密かに反省した私は、その後きちんとゲートをくぐって通行しているのである。

今回も久しぶりの釣行なので、まずはこの楽園で腕ならしをしようと私有地道路を歩いていた。すると前方から2匹の犬が猛然とダッシュしてきたのだ。吠えながら私を威嚇する。しかしこちらもアングラーの端くれだ。何があっても楽園で釣りがしたい。飛び掛かってきたら戦う覚悟で強行突破したのである。すぐ近くの管理人室には灯かりがついていたが最後まで人が出てくることはなかった。

9月の台風の影響で川原は大きく変化していた。今年一番の水量の多さで、歩いて渡るのは一苦労である。川全体に白波が立ち、魚が身を寄せていそうなタルミも見つからない。大岩の陰にミノーを流して見るが、どうしても際を通すことができない。水流がかなり強いのだ。餌釣り師と話す。「どうですか、釣れてます?」「あぁ、ヤマメとイワナ1尾ずつです。」「ほらヤマメが上がった」指差す方を見ると彼の連れが良型のヤマメを釣り上げブイサインをしている。私はと言えば滝のところまで釣りあがり、結局魚の影も見ないままその場を立ち去ったのである。


少し上流に行くと広い川原に出る。クリアな冷たい水に向かってミノーをキャストするとコツリときた。餌釣り用ヤマメ針で自作したダブルフックはとても鋭く、魚が少し触れただけでも突き刺さる。このフックに変えてから取り逃がした魚は1尾もない。もう一度キャストするとまたコツリと反応がある。何度キャストしても同じだ。その代わり何度もアタックしてくる。

ロッドを大きく振ってド派手にミノーを踊らせながらリトリーブしてみる。するとガツンと直ぐに強いアタリ、秋は派手目がいいらしい。20センチ前後の元気の良いヤマメであった。直ぐにリリースして同じ場所にキャストする。またブルブルっと心地よい振動、同サイズのヤマメである。その次もまたその次も・・・。何度キャストしても次々釣れる。そして次々リリースした。もう笑いが止まらない。すべて20センチのヤマメである。

しかし水面を覗き込んでも群れを確認することができない。水はクリアなのに何故なんだ。みんな淵の際に張り付いているのか?念のために釣れたヤマメをずっと遠くの溜まりにリリースして、再度同じ場所にキャストしてみた。するとその後はアタリがピタリと止まり、二度とヤマメの姿を見ることはなかったのである。あいつには本当に悪いことをした。


少し下流に歩いていくと、ブルトーザーで採石した後があり、水中をヘルメット大の石がごろごろしている。このような場所は川底をかき回されているために、餌となる川虫が流されてしまい。魚が生息している確立は少ない。極めて消極的にキャストしてみた。フワッと浮き上がったミノーがポトリと落下したその瞬間、ロッドが大きく曲がった。正真正銘27センチの太ったイワナである。このような場合、再度キャストするともう一尾釣れることが多い。おそらくはあの場所でお相手が待っているのだろう。塩焼き派の私ではあるがリリースをしてしまった。最近はこんなことが多い。帰り道、一尾のヤマメを爆釣したポイントで、餌釣り師が20センチ前後のヤマメを上げて、うれしそうに魚篭に収めていた。