2002/04/11 早戸川の初ヤマメ


アングラー。もちろん釣り師のことだが、辞書で引いてみると「小細工で目的を達しようとする人」という意味もある。早戸川で油断をするとノーフィッシュも珍しくない。どんな姑息な手段を使ってもボーズだけは免れたい。今回用意したミノーは5グラム、2.5グラム、そしてスタンダードな2グラムの3種類だ。いつもは2グラムのミノーだけを持って釣り歩いているが、深い落ち込みが何段も続く早戸川には重たいミノーが有利と考え、今回普段より重めのものを製作してみた。


国際マス釣り場のすぐ上から入渓する。連日の暖かさから一変して肌寒い朝だ。水温も低い。山桜の花びらが風に吹かれてヒラヒラと舞っている。まずは2.5グラムのTaki-minnowをラインに結び、一呼吸おいてからスッと投げる。対岸の岩にコツンと当り、そのまま流れの中に吸い込まれていった。毎回ファーストキャストは「魚が追尾してくるかも知れない」という期待感から緊張する。しかし10回、20回とキャストを続けて行くうちに集中力が薄れ、突然アタックしてきた大物を取り逃がすケースも多い。

まさに、その通りのことが起きた。魚止めの少し手前に大岩が点在している。水がVの字になって何箇所もの落ち込みを作っている。その一つ一つを丁寧に探っていたのだが、一向に反応がない。そのうちキャストは惰性的なものとなり、ふわりと浮いたミノーによって糸フケが出てしまった。ところが次の瞬間水面がギラッと光り、魚体がミノーに絡んできた。すぐにロッドにアクションを入れたが後の祭り、岩底深く逃げ去って行く影を空しく見送るしかなかった。マス釣り場から堰堤まで、舐めるように釣り上がったが、魚を見たのはその一瞬だけである。

2.5グラムミノーはフォブリングアクションを取っているのだが、どこか重々しい。2グラムミノーに付けかえる。バルサ特有のキビキビとした泳ぎを再認識できてうれしい。その後チャンスが訪れたのは遥か上流、三日月橋手前であった。前方に岩が重なり合ってトンネル状になっている場所を見つけた。「こんなポイントは餌釣りやフライでは狙いにくいのではないか」試しにミノーを投げてみる。パチーン!と跳ね返され、思うように穴の中心に飛びこんでくれない。ルアーフィッシングはコントロールが命なのだ。しかし周囲の岩が邪魔をして、うまくスタンスを取れない。何度かフラップを繰り返した後、やっとミノーが左奥に飛んでいった。

すぐさまロッドでミノーを動かす。暗くてサイトフィッシングはままならないが、確かな魚信を感じた。「うれしい!」今年初めて経験するブルブル感。暗い穴から銀色の肌をくねらせたヤマメが出てきた。20センチであるが苦労しただけに喜びは大きい。誰もいない川原で思わず「ガッツポーズ」をしてしまった。実は今日、ガッツ石松氏が世界で初めてガッツポーズをしたという「ガッツの日」なのだ。