2002/05/25 苦戦、中津川のヤマメ


最近の中津川は実に難しい。ウブな小物は釣りきられ、残っているのは一筋縄では行かない魚ばかりだ。彼らは底岩の影にじっと身を潜めている。ミノーのキラメキに一瞬顔は出すものの、すぐさまイミテーションを見破り、その後しばらくは姿を見せない。また、飛びついて来たとしても、即座に触感の違いを見極めて吐き出してしまう。この川で釣りをすると、常に緊張していなければならないので、とても疲れるのである。

前回はノーフィッシュに泣かされたが、魚影を確認したポイントはすべて覚えている。そのポイントにだけ的を絞って攻めて行く。天候や工事など、フィールドに大幅な変化がない限り、彼らは恐らく動かない。

青宇治橋の下、すれ違った餌釣り師が「さっぱりだよ」と言った場所。大きな黒い影がミノーに絡んできた。しかし何の手応えもない。ミノーの上と下を交互に回転しながらついてくる姿は、まるでイルカのショーだ。どんなにアクションを入れても絶対にミノーに触れない。完全になめられている。上流からポテトチップの袋が流れてくると、それに驚いたのか岩の陰に逃げ去ってしまった。

写真の場所は布川との合流付近である。釣り師が後方で何か叫んでいる。「そこにはいないよ!」さえない顔をしているところを見ると、ノーフィッシュなのだろう。「いない」などとは誰も言いきれない。前回来たときには、この淵の底岩から魚が飛び出してきた。しかしミノーに落ち葉が絡まり、あと一歩のところで取り逃がしてしまったのである。今日こそそのリベンジ。

下流側から対岸の岩めがけてキャスト。Taki-minnowはパチンと岩に当たり、そのまま際に吸い込まれていった。いくつかアクションを入れると魚がスッと顔を出し、すぐにUターン。「あの魚がまだ残っている・・・」間違いなく食い気のある魚だ。次は慎重にキャスティングしなければならない。

上流に回り込んでダウンストリームキャスト。逆引きの場合、ミノーは放っておいてもスイムするので、超スローで巻いてくる。派手なアクションはいらない。時折コンコンとロッドの先を振るわせるだけでいい。次の瞬間ググッと来た。しかし最近の中津不釣がトラウマ化しており、「合わせを入れた瞬間に・・・、リールを巻いている最中に・・・、フックが外れてしまうのでは・・・」そんな不安が過ぎる。この一尾だけはどうしても逃がしたくないのだ。私はロッドを握り締め、くるりと川に背を向けて一目散に走り出した。走りながらも感じる魚信がうれしい。数メートル離れてから振り返ると良型のヤマメが浅瀬でもがいている。やった!24センチ、まるまると太った魚体であった。