2002/05/05 大爆釣!早戸川のヤマメたち


早朝の早戸川でロッドを振っていると、もやの向こうから監視員が声をかけてきた。漁券にスタンプを押しながら「実はこれから放流があるんだよ」と言う。人差し指を口元にあてて「誰にも言うな」の仕草をしたあと、「もう少し上を釣った方がいいよ」と言い残して去って行った。

ところが3時間経っても何の音沙汰もなく1尾も釣れない。おまけに放流などされた形跡もないし、辺りには人の姿さえない。「ガセネタだったのか」・・・・。失望感と脱力感、おまけに空腹感まで抱きながらロボットのように竿を振り続けた。

さらに1時間ほどして三日月橋の手前まで来たとき、前方の崖から男が滑り降りてきた。例の監視員である。真新しい作業服を着て片手にバケツを持っている。こちらに向かって何か叫んでいるのだが、渓流の音に消されて何も聞こえない。しかしバケツの中身は容易に察しがつく。待ちに待ったヤマメの放流が始まるのだ。

男がバケツをかたむけると、大小様々なヤマメたちがうれしそうに飛び出していく。中にはマルマルと太った良型もいる。目の前に放流されて、それを僕がひとりで釣るなんて贅沢はめったにない。大いなる期待感で胸が一杯になった。ところが何度キャストしてもコツリともこない。監視員の前で泣きそうになる。彼は近づいてきて叫んだ。「1時間ほどは追わないよ。一服してて!」なるほど、そういうものだったか。「これから下流にもどんどん放流していくからね。釣ってよ!」彼の頭の上に、後光かリングのようなものを見た気がした。

三日月橋手前、大岩のあるポイント 放流直後のウブなヤマメ

霧雨が降る早戸川林道。国際ます釣り場上流から三日月橋まで、駐車している車は5台前後。釣り人は極端に少ない。しかも目ぼしいポイントすべてにヤマメの姿が確認できる。ミノーをキャストすると、その数は目視で確認するよりも多いことに気づく。アップストリームでもダウンでも。アクションを入れてもタダ巻きでも。ルアーの色が何色であってもすべて釣れる。きっと昔はこうだったに違いない。

3本松の淵に放流はなかったようだ 3本松より下流は夢の楽園だった

放流の情報は村中を駆け巡ったのだろう。気がつくと釣り人の数は何倍にも増えていた。僕が釣っている淵は1級ポイントらしく、何人もの釣り人が順番待ちをしていた。ひとりの男が「君、漁券持ってるの?」と聞いてきた。「持ってる、雨にぬれるのでポケットにしまった」漁協の人かとたずねると「そうだ」と言う。僕の漁券を確認すると、さっさと竿を出して釣りを始めた。漁協の人が釣りをしてはいけないというルールはない。ただ、今日僕が体験した感動的釣行を毎回やってるとしたら、ちょっとくやしくてウラヤマシイではないか。