2003/05/26 布川下流のイワナ

雨の丹沢林道。路肩に車を止め、アイドリングのスイッチを切る。森はしんと静まり、ボンネットには雨音が響いている。「何もこんな日に釣りをしなくても・・・」誰かにそう言われそうだ。


唐沢キャンプ場よりやや上流の崖を下り、河原に出る。前回逃した大物を今日こそは仕留めるためにやって来た。大きな淵は五月雨を集めて、ゆっくりと渦を巻いている。どこから見ても大物が潜んでいそうな場所である。

はるか下流に思い切りキャスト、ゆっくりゆっくり引いてくる。前回はここでググッと来た。重たい感触は今でも忘れられない。しかしフックの研ぎが甘かったのかスッポ抜けてしまったのである。恋ヤマメに連れなくされた場所で、何度もキャストを試みたが返事はない。「釣師は未練なるべし。ただ魚の木に登らん如くなるべし・・・」


昼頃に布川下流の広い河原に出る。あれから数時間、一尾の姿も見ていない。水流に足をとられつつ、石につまずきつつ歩く姿は例によって落ち武者のようだ。布川の堰堤までくると雨も上がり、気温も上昇してきた。


堰堤プールの下流側、その中央から扇型にキャストしていく。ロッドは立てたまま、一定のリズムでグリップを引く。こうするとシンキングミノーは上下に移動しながらスイムする。足元から数メートルのところでヒットした。プルプルというかわいい引きである。しかし良型、腹がたっぷりとしたイワナであった。迫力こそ欠けていたが、今年初めてのイワナに顔もほころぶのである。