2004/05/08  御殿場S川は魚の楽園、でも一筋ラインでは釣れないのである


ゲストには「ぜひ釣ってもらいたい」と思うのがガイドする側の心境。逆に案内される方は釣らなきゃ悪いと思う。「そういうのは無しにしましょうね。」今日はYellow氏の案内で御殿場のS川に来ているのだ。朝から1尾も釣れずにうつむく僕に、彼はビールを手渡しながらそう言った。



まず初めに案内されたのがキャンプ場の下。大岩がふたつ並んでいる。「ゲストですから」とやさしく言われ、先行することになった。僕が岩の陰から顔を出しただけで、魚影がサッと動いた。その数、多数。顔が真っ赤になるほどうれしい。これほど魚の気配を感じる川は、丹沢などにはまずない。

1投目、大岩のサイドをゆっくりと引いてくる。魚たちが右往左往している様子がクリアウォーターというファインダーを通してよく見える。興味を持って追ってくる魚もいれば、ギラリと回転して縄張りを主張するものもいる。そっと裏へ回り込み、ミノーを逆引きでゆっくりと巻いてみる。ブルブルブル!小気味よい感触が右手の皮膚を刺激する。目の前で白い腹を見せたそいつはアマゴだった。「どうしてすぐに合わせなかったんだ」後悔しても後の祭。ロッドがフッと軽くなってしまった。警戒心の強い魚は、口に入れたものを異物であると判断するまで1秒とかからない。



次のポイント。対岸の岩に窪みができていて、暗く陰を作っている場所があった。当然、魚が潜んでいるだろう。そこにミノーが音もなくスッポリと収まった。ナイスキャストである。しかしミノーが着水した瞬間、数尾のアマゴがサッと散っていった。明らかにtaki-minnow に驚いている。



いつか‘たりちんさん’が言った言葉。「takiさん、もっと離れて!」その言葉を思い出した。「だって近づきたいんだ。見釣りが好きなんだい。」もうそんなことは言ってられない。2日前の釣行記に「俺様はうんと近づいて釣るルアーマン」そう書いて自慢したこともすっかり忘れた。10メートルほど前方に滝があり、その手前は大きなプールになっている。滝めがけて思い切り遠投すると、うまく白泡に入った。ロッドを煽るとガツンときた。その瞬間、魚はジャンプ。10メートル手前からでも白い腹がはっきり見えた。大きい!その後、魚は宙を舞い、2度とミノーに触れることはなかった。「Yellowさん、魚がね、ジャンプしてね、それが大きくてね」保育園児がママに語るように報告したが、なにひとつ証拠はない。やさしいYellow氏は「はい、はい」と聞いてくれるのであるが・・・。

魚の楽園、S川の釣行が終わり、次の日にYellow氏が見送ってくれた。「何もお土産がなくて・・。」と彼。「いやいやボーズでも最高に楽しかったですよ、また行きましょう」そう応えると車に乗り込み、彼とは御殿場で別れた。



しかし、帰る途中に何本もの川があり、僕を誘惑している。時間はまだ12時だ。「釣ろう!」どこまでも往生際の悪いやつである。途中、名も知らぬ川の近くに車を止めて、ロッドを鷲づかみにして飛び出した。雨が激しく降っている。その川は田の横を流れ、コンクリート2面張りの川。生活雑排水も流れているようだ。コンクリート沿いを歩きつつ、逆引きでミノーを泳がせる。コンクリートの際でプルプルという魚信。ミノーに何か付いてるなと思ったらヤマメだった。天然の、そしてヒレピンの、でも8センチのヤマメだった。昨日から何百回もキャストした末に釣り上げた、僕にとっては貴重な宝物である。