2004/06/16  山梨県、道志川中流で初めて釣りをしてみた


国民性や県民性など、地域によって人間のキャラクターが若干異なるという話を聞いたことがある。それでは川ごとに魚の違い、つまり「川魚性」なるものが存在するのだろうか?中津川や早戸川のヤマメにはそれほど大きな違いを感じたことはない。障害物の陰でミノーを派手にアピールさせ、誘い出し、追いかけてきたところを別のアクションで食わせる。これが僕の通常パターンだ。魚影が少なくてガマンの釣りを強いられるとき以外、彼らは僕のミノーに飛びついてくる。しかし、はたして別の川のヤマメたちにも 同じ釣法で通用するのだろうか。そこで今回、山梨県側の道志川へ新調 taki-minoow を持って出かけてみた。


今回入渓したのは久保という地域。まったく初めての場所である。つり橋を渡り、畑の中を下って行くと川に出る。その淵を見て驚いた。全体的に木に覆われて薄暗く、丹沢では経験できないような大きなプールが存在している。絶対釣れると信じつつ岸壁にキャスト。竿先を少しだけ煽り、ミノーの態勢を整えた後、ゆっくりとリトリーブするとプルプルときた。体長10センチ程度の小さなヤマメ、綺麗なパーマークが初々しい。さらなる大物を求めてキャストを繰り返したが、その場所からは小物しか出なかった。

入渓地点 久保のつり橋

初めて入る川、この先がどうなっているのかも知らない。広い川幅はウェーディングにも体力がいる。ヘトヘトになりながらもキャストを続けるがミノーの後を追ってくるのは10センチ前後の小物ばかり。キャンプ場前でやっとヒット!良型ヤマメが水中でクネクネともがいている。しかし僕のフックには返しがないので、深い棚でヒットした場合は新調に取り込まなければならない。左手でネットを取ろうとした瞬間、右手が緩んだらしい。口からミノーが外れ、フッと軽くなってしまった。魚も必死だったに違いない。フックが外れた後ももがき続け、ふと我にかえったように逃げていってしまった。


途中、大室指手前で3人の若いルアーマンを見た。僕がキャストしている後ろを静かに通り過ぎ、深いガンガン瀬を渡ろうとしている。無茶だ。3人で手を取り合って進むうちに1人が肩まで沈んでしまった。残りの二人も胸まで浸かっている。それでもワイワイはしゃぎながら楽しそうに渡り切り、キャンプ場の方へ消えていった。後で彼らと再会した時はぐっしょりと服を濡らしたままラーメンをすすっていた。「釣れましたか?」と元気よく聞かれたので「さっぱりダメだ」と答える。
今度はこちらから「釣れた?」と質問すると大きな声で「聞かないで下さい」と、3人同時に「わーはっはっは」と豪快に笑うのだった。



キャンプ場を後にして、しばらく歩いても楽しそうな笑い声がまだ聞こえてくる。愉快な連中だった。「釣れました?」旅館の主人が近づいてきた。さっぱりダメだと返答すると、「そうでしょう、ここは日本有数の釣れない川なんですよ」と言う。「えっ、本当ですか?だって魚はいましたよ」と僕。「魚は何万尾も放流しているから魚影は濃いですよ、でもルアーを追ってくる魚なんていませんよ」と言う。確かにそうだ、ベストなポイントに放り込んでもその後のチェイスを確認できたのは数えるほどである。しかも鼻面までミノーに近づいてきたのは1尾だけだった。彼がいうには極小ルアーで短いロッド、遠投の必要はないがピンポイントを狙いなさいということだった。僕の丹沢釣法はどうやら通用しないらしい。その後も僕のやり方で釣り通したが、バラシが一度あったきりでいつの間にか辺りは薄暗くなってしまった。

魚影はものすごく濃いのであるが・・・

1度釣行したからといって、その川を到底理解することはできない。ただこの日の道志川は、丹沢水系と魚の行動が明らかに違った。何年かかるかわからないが少しずつ研究していきたいと思う。道志川中流をホームフィールドにしているミノー使いの方はぜひ情報を知らせていただきたいと思う。