2005/03/01 渓流シーズン開幕!中津川釣行
今日は渓流釣り解禁日。
早戸川最下流に車を止め、林道を歩きながらポイントに向かう。
途中漁協の男たちが待ち構えていて道行く人から入漁料を徴収していた。
まるで関所である。

僕の持っているルアーとロッドを見てひとりが言った。
「その釣り方じゃどうかな?」ちょっと時期が早いだろうと言う。
まさに渓魚を知り尽くしたような彫りの深い日焼けした顔で言われると「ダメかなぁ」という気持ちにさえなってくる。


案の定、早戸川に入渓してからさっぱり釣れない。
上空の寒波の影響もあって寒い朝だ。
魚は瀬に出ることはなく、深い淵でじっとしているに違いない。
しかし、好ポイントの淵には餌釣り師が何人も陣取っていて、キャストなどしたら殴られそうな雰囲気である。
彼らは皆、ブスッと不機嫌な顔をして立ちはだかっている。
実はそれほど釣れていないのだ。

一人の男がラインをつなぎ合わせて数十メートル下の滝壺を狙おうとしていた。
「ここ釣るの?」と聞くと「だってさぁ、一匹も釣れないんだもん、こういうところ狙うしかないじゃん」と子供のようにふくれた。

早戸川を早々にあきらめ、林道を下っていると、帰り支度をしている餌釣り師にあった。
「釣れましたか?」と聞くと、怪訝な顔で「さっぱり釣れないよ、漁協のやつら俺たちの漁券代を飲み代にしやがった」とはき捨てるように言い、訴えてやるとも言っていた。
僕が思うにそれは飲み代に消えたのではなく、不景気が影響しているんだと感じている。


↓四季ごとに変化する中津の渓 ↓白く見えるのは雪ではなくゴミ

朝9時、中津川に移動した。早戸川とは違い、閑散としている。
去年にも増してゴミの量には驚かされる。
捨てられた冷蔵庫、洗濯機、タイヤをかき分けながら崖を下る。
唐沢キャンプ場前ではノーフィッシュ、中津川上流も魚影はない。

そのまま下流に下ると大きな岩があり、その周辺には水溜りができていた。
おそらく何週間も前に水流が変化してその場に取り残された水が溜まったものだろう。
どんよりとしていて誰も餌など振り込むはずもない。
僕も通り過ぎようとした。
が待てよ。
「意外にイワナがいるんじゃなの?」
こう思ったのは大正解、その時の自分に表彰状をあげたい。

遠くにスタンスを設け、水溜りめがけてtaki-minnow を大きく振り込んだ。
水溜りの中央に落ちたミノーをロッドを立てたままチョンチョンと躍らせる。
するとゴンという鈍い反応があり、ラインが遠くに移動してゆく。
「わぅ」という押し殺した声しか出ない。
岸に引き寄せてみると良型のイワナだった。
砂にまみれて真っ黒になった魚体をやさしく洗い、手を放すと痩せた身をくねらせながら泳いで行った。


さらに下流に進むと淵がある。
量は少ないが水流が湾曲してできた深底には、いかにも魚が潜んでいるような独特の気配がある。
この淵は1年前の今日もヤマメを吊り上げているラッキーポイントだ。
「釣り上げている」と書かなかったのは2004年3月1日の釣行記を読んでもらえばわかる。

さっそくサイドストリームに投げると黒い影が追ってきた。
魚の動きは悪くないのだが、警戒心も手伝ってかミノーに追いつかない。
ミノーをゆっくり流したいときはダウンストリームに限る。
そっと川上に移動して下流に向かって思い切りキャストした。
ジリジリとラインを巻くとコツンと鈍い感触があった。
「なんだ?釣れたのか?」半信半疑のまま合わせを入れてラインを巻き取ると赤い魚体が水を割って現れた。
なんと綺麗なヤマメだろう。
ヒレも体側も真っ赤、画像でうまく表現できないのが残念である。
特別な魚のような気がしてキープする気にはなれない。
岩の陰にそっと放した。


もう少し歩くと布川との合流点に出る。
そこでミノーを投げ込み、派手な動きで誘うとヤマメが食いついてきた。
すぐに合わせを入れたがフックが外れ、魚が空中でジャンプ、そのまま素早く逃げていった。
「あやっ!」と大声をあげた後、振り返ると監視員が立っていた。
取り乱している僕の様子を見て、声をかけ難かったようだ。
下を向いて石を蹴っている彼に向かって「漁券かい?」と聞くと小さく「うん」と言った。

「あいにく早戸川の監視員に半券取られちゃたよ、向こうはまったく釣れてなかったね」と言うと、彼は僕の漁券を手に取りながら「早戸は観光センターが終了したから放流は少なかったよ。そのかわりここの上流にたくさん放したよ」と言った。
どうやら本谷川と塩水川は釣り人で盛況だったらしい。
「ここは?」と聞くとまったく放流していないとのこと、僕が釣った魚は「越冬イワナ」と「越冬ヤマメ」ということになる。

年に数回の釣行で偶然に釣れることはよくある。
しかしゴルフのパットのように自分で計算した、その筋書き通りに釣れることは少ない。
今回の釣果は予測と過去の経験から計算され、その通り実行されて実現した結果である。
少し「エヘン!」なのである。