2005/09/03  塩水川から布川へ
前方の落ち込みに向かって、静かにキャストする。
着水と同時にロッドを煽ると、わずかな魚信を感じた。
そっと引き寄せると、小さなシシャモクラスのイワナがくっついている。
「なんだよ、もう少し大きいのが来てくれないと・・」
我ながらずいぶんと偉そうな言い方をする。

考えてみれば、初心者の頃、来る日も来る日もボーズの連続であった。
初めて釣れた日、小さなスピナーに食いついてきた5センチほどのクチボソを見て歓喜の声をあげたものだ。
少なからず実績をあげられるようになった今こそ、あの頃の気持ちに戻ってキャストをすれば感動は倍増するのかも知れない。



中津川上流の塩水橋に車を止め、そこから林道を歩いて登る。
塩水川は林道よりもはるか下を流れているが、しばらく進むと堰堤の際から入渓できる。
ただし、200メートルほど釣り上がると次の堰堤があるので、崖をよじ登って巻かなければならない。
最上流まで堰堤は数知れず、釣りあがっては堰堤越えの連続である。
傾斜も急なので、体力が無いとすぐにバテてしまうだろう。

川幅が狭く、流れも急なので、着水後すぐにリトリーブしないとミノーが流されてしまう。
ロッドは立てたまま操作するとよい。
その方が急流にラインをもっていかれることがなく、ミノーにも力がダイレクトに伝わりやすい。
竿先を煽るときは上方向に跳ね上げるようにする。
その時に水中から飛び出してしまうようなミノーはこの渓では使えない。

これだけウンチクを述べた後に「じゃあ、どれだけ釣れましたか?」と聞かれると困ってしまう。
林道のほぼ終点付近まで粘ったが、チビイワナ数尾をひっかけただけであきらめてしまったからだ。
 


時間は2時半、泥の被害が出ているとウワサの布川へ行ってみた。
唐沢橋上流から入渓してみたが、ここはいつもと変わった様子はない。
若い家族連れが川遊びをしている。
大水が出たような危険な雰囲気は感じられなかった。

対岸の溜りにミノーを投げると黒い影がグルリと円を描き、下から仰向けに襲ってきた。
数時間前のチビイワナとはまったく違う、グイグイと手首を震わす感触がいい。
取り込んでみると良型のヤマメ。
水際でも暴れまくり、なかなかファインダーに収まってはくれなかった。


最近では、ボーズで帰ることがほとんど無くなった。
しかし、河原に両膝をついて両腕を高々と上げ、勝利の雄叫びをあげることも忘れてしまった。
もう一度少年の心を取り戻すべく、初心に返り、禁漁までの残された期間に熱いバトルを繰り広げたいと考えている。