2005/10/06  手作りスプーンで釣ってみる
掲示板に若者からの書き込みがあった。
彼は中学生、これから渓流ルアーをやってみたいけど道具を持っていないし、お金もない。
親に相談したところ5千円までなら出してやろうと言われたらしい。
彼は千円台のロッドと必要な小物を買いそろえ、なんとか予算の範囲内に収めることに成功した。
「かなりきついッス」
そうだろう、それに今後はルアーの補充も必要だ。

そこで世の中のギリギリアングラーのために、格安で、しかも簡単にできるスプーンの製作法を紹介することにした。
<自作スプーンで釣ってみる>
早速、銅版を加工して仕上げた試作品、はたしてこれで釣れるのだろうか。



朝方まで雨を降らせていた分厚い雲がゆっくりと東へ流れてゆく。
その間から山肌の木々が見え隠れしている。
僕が試釣場所に選んだのは、一番リラックスできる青宇治橋の下。
突然、ヤブの中から釣り師が現われた。
「ダメだ、一匹もいねぇ」
「雨で仕事がなくなったから来てみたけど、この辺わかんねーもんなぁ」と欠けた前歯を食いしばって地団駄をふんでいる。
「林道でライトが点けっぱなしの車を見たけど、八戸ナンバーの・・・」と僕が知らせると、
「やベー、俺んだ!」と一目散に走って行った。

さっそく手作りスプーンをキャストしてみる。
ゆらりと水中を漂う姿は弱った魚に見えなくもない。
早巻きや逆引きをしてみると、すぐに回転してしまって使い物にはならない。
ところが、アップストリームにキャストした場合には、クネクネとした実に良い動きをする。
もう少し本体の幅を狭く、そして板を厚くすれば逆流にも耐え得るスプーンが出来上がるだろう。

その後、3投目で良型が追ってきた。
ユラユラと泳ぐスプーンに興味を示している。
鼻先でスプーンの匂いをかぐように、まるで誘導ミサイルのようにピタリと追ってくる。
ロッドの先で少しだけアクションを与えてみた。
スプーンはヒラヒラと体勢を崩し、その瞬間に魚は去ってしまった。

どう釣ればいいのだろう?!
僕はスピナーから渓流ルアーを始め、長い間ミノーばかりをキャストしている。
スプーンについてのテクニックはまるで乏しい。


その後、何度も同じ目に会う。
少し不安になりかけた時、浅瀬でガツンと来た。
魚が暴れて白泡の立つ上を、自作スプーンが鈍く光る。
「とりあえず釣れた」これが正直な感想だ。
その後も釣り上がったが、後にも先にもこれ一尾。
全部で4時間の行程であった。

自作スプーンとは言え、動きに問題はない。
どう魚に食わせるべきか、僕も含めて学ばなければならない課題だろう。

雲の切れ目から薄日が差してきた。
木々に残った水滴が、キラキラと光って美しい。
駐車スペースに戻ると八戸ナンバーはもういなかった。
バッテリーは無事だったんだ・・・。
「この辺わかんねーもんなぁ」と言ってたあの釣り師。
遠い北国から来た彼に釣果あれと願いたい。