2005/10/08  アングラー、血まみれの手でヤマメ釣り
午前10時、水沢川の駐車スペースはすでに満車状態、
これから入渓しようと準備している釣り人もいる。
しばらくは先行者だらけだろう。
ちょうど近くに小さな沢を見つけたので、そこに入って時間をつぶすことにした。

チョロチョロと流れる澄んだ水流を踏み、ヤブをかき分けて中へ入る。
入ってみると意外と広い空間があった。
川幅1メートルにも満たない流れと、何段もの落ち込みが上流まで続いている。
洗面器くらいの落ち込みであっても、見逃すことなくキャストを試みる。
はたしてここに魚はいるのだろうか。



岩が何層も重なり合った落ち込みの前、そこに流木が数本横たわっている。
キャストのタイミングを少しでも外せば、ラインが流木に絡みついてしまうだろう。
そうなれば、二度とルアーに食いつくことはないはずだ。
ここはワンチャンスしかない。

魚を驚かせないように、そっとフリップキャストする。
うまい具合にミノーが白泡の奥にスッと消えた。
ここからが勝負、全神経を両手首に集中させる。
ロッドを数センチだけ煽り、ゆっくりとリールを巻く。
その時点で魚はミノーをくわえていた。
ブルブルブル!
小さいけど大暴れ。
どうしよう、合わせを入れたらヤブの中に飛んでいきそうだ。
そっとロッドを持ち上げて、静かにラインを巻いていく。
真っ白なヤマメが水深3センチの流れの中、暴れながら引き寄せられて来る。
ところが突然、水しぶきは小さくなり、そして消えた。
こんなことなら・・。
何を言ってももう遅い。


その後、水沢川本流に戻る。
しばらくキャストを続けていたら、背中にチクリと痛みを感じた。
急いで服を脱ぐと、シャツの中で大きなクモが潰れている。
さっきの沢で釣りをしている時に、襟首から進入したらしい。
気を取り直して再びキャストを続ける。
すると今度は、左腕が血まみれだ。
ヒルにやられたのだろう、腕時計まで真っ赤に染まっている。


前方の大きな落ち込みでプルッときた。
血みどろの左手で必死にリールを巻いてゆく。
「お願いだから逃げるなよ」と祈りつつ、そっと足元に引き寄せると
15センチの小さなヤマメ。。
「あぁ、よかった!」
やっと釣れた・・・。
ボーズを免れたんだ、こいつに感謝しなくてはならないだろう。