2006/05/16  バラシは痛恨の極み

魚を取り逃がすこと、それは空しくて切ない。
突然ロッドが軽くなった時の、あの絶望感と劣等感は言葉では表現できないだろう。
まして魚影の少ない丹沢では、バラシがその日の釣果に大きく影響するのだ。



そこで今回は万全の体制で臨んだ。
ラインを4ポンドから6ポンドに変更して大物に対処した。
テールフックもワンサイズ大きくする。
食い気の少ない魚が後ろからルアーをつまむ、その薄皮一枚にさえしっかりとヒットさせるのが狙いだ。

さらにリップをアップストリーム用にセッティングした。
流れと同方向に引いた時の、魚がミノーを追う時間を少しでも稼ぎたい。
そのためには逆引きで流れから飛び出すというリスクも仕方がない。
そもそもダウンにキャストしてから早巻きで引く機会など僕にはないのだ。




今日の布川は渇水気味、キャンプ場付近までは魚影を見なかった。
しかし昼近くに雨が降り出すと急に水かさが増え、にわかに黒い影が動き出す。
バンガロー前の溜まり、岩のえぐれた部分にミノーを落とすとググッと来た。
なかなか良い型だ!
手に持つと、どっしりと重い26センチのイワナだった。




土砂降りの雨の中をアップやクロスで釣り上がる。
唐沢林道へ続く赤い橋の下、たっぷりと水を溜めたプールがいくつもできている。
一番大きなプールにtaki_minnow を振り込むと、はるか向こうでチビヤマメが食ってきた。

瀬の好きな僕はプールにそれほど時間をかけない。
まして何度も同じミノーをキャストすれば飽きられるのは目に見えている。
だけど今日は胸さわぎがして、長い時間キャストを続けていた。
「ゴゴゴゴーン!」
ほんの数メートル手前で今までに経験したことのない激しい魚信、すぐさまロッドを煽る。
でっぷりとした白い腹がジャンプ!
ポケッとつっ立っている僕とは対照的に、イルカのショー的パフォーマンスを繰り広げる巨大魚。
その魚体を心のファインダー越しにしっかりと記憶、しかしその後に「ふっ」と軽くなってしまった。




ちじれたラインが風に揺れている。
降ろしたてのtaki_minnowまで持って行かれてしまったのだ。
その後、泣きそうな顔をして薄暗くなるまでキャストし続けたが反応なし。
今日のためにラインを替え、フックを替え、ミノーのコンセプトまで変更してやって来た。
なのに単純なミス、ラインの結び目チェックを怠っていたのだ。

長い林道を青藤橋まで徒歩で下る。
「40は超えていたよなー」
残念ながら例の心のファインダーには、でっぷりとした白い腹が写っているだけ、大イワナか大ヤマメかも判断できないのである。