2006/05/21  Yellow氏と共に富士のアマゴを釣る

富士のM川、その奥には新緑の木々が垂れ込めている。
川の水は透き通り、周辺にはたくさんの虫が舞っている。
その虫を狙って蜘蛛の糸が縦横無尽に張られ、キャストを続けるとラインがベトベトになった。



開けた川原で若者が絵を描いていた。
軽く会釈をかわした後、遠くの落ち込みにアップストリームキャスト。
ミノーが弧を描き、ゆっくりと白泡に吸い込まれる。
数回ロッドを煽るとすぐに魚信を感じた。
バシャバシャと暴れる魚体が、少しずつ僕に近づいてくる。
しなるロッドを真上に向けてラインのテンションを保ちつつランディング。
若者は下を向いて黙々と絵筆を動かしている。
おそらくキャンバスに向って、魚の水しぶきとロッドの曲線、そしてムフフと笑う僕の姿を描いているに違いない。




「夕マズメは下流を攻めましょう」
Yellow氏と共に、コンクリートで護岸された水路へ移動する。
車を止めると、フロントガラス越しにフライマンの姿が見えた。
「一足遅かったね」
Yellow氏の言う通り、我々が目指していたポイントにフライマンが入って行く。
そしてテンポよくロッドを振り始めた。

「見学しましょう」
いつもフレンドリーなYellow氏は、フライマンに近づき親しげに話しを始めた。
彼らは大きなプールの前に立ち、話に夢中で川の方を見ていない。
「このまま暗くなっちゃうし、二人とも釣る気はないのかな・・・」
「じゃぁ、ちょっとだけ・・」
プールの先端に向って思い切りキャスト、そ知らぬ顔でリールを巻く。
突然、ギュイーンとロッドが曲がった。
でかい!
グリップを引いて大急ぎで糸ふけを取る。
チラッと二人の様子を気にした瞬間にプツン!
またこれだ、バラシである。
その悲しいシーンを彼らは知らない。




二人が熱く語り合っている間に、いろんなポイントを探るがノーフィッシュ。
やがて護岸に上がれる石段まで戻ると、フライマンが目の前に立っていた。
見れば良型のアマゴを手にしている。
あのプールにワンキャストしただけで、あっけなく釣ってしまったらしい。
彼は手馴れた感じで写真を撮ると、やさしくリリース。
「ヒュー!」という雄叫びを上げて、濡れたネットの水を切った。
そしてすぐさま、かっこいいジープに乗ってどこかへ去ってしまったのである。




夕闇がせまり、街に灯りがともり始めた。
フライマンが去った後のプールには、数え切れないほどのライズが起きている。
二人で必死にキャストしたが、釣果があるのはYellow氏の毛鉤だけ、最後まで僕のミノーにはコツリとも当たりはなかった。
釣法の異なる者同士が、互いの利点を生かしながら釣り歩く、それはなかなか楽しく価値あるものである。