2006/05/29  小渓流で良型の予感

谷太郎川は小さな渓流である。
川原には赤茶色の岩が転がり、その間を縫うように水が流れてゆく。 
清流が作り出す段差や落ち込みは、魚たちに豊富な酸素と心地良いすみかを提供している。
残念なことに解禁日や放流日になると、大勢の釣り人が訪れ大概の魚は持ち去られてしまう。
したがって我々は残された数少ない放流魚を細々と釣るしかなく、一尾の価値がさらに感慨深いものとなるのだ。



落ち込みを狙ってロッドを振る。
泡立つ溜まりに落としてから、ディップを立ててミノーを泳がせる。
突然現われた黒い影、そいつは辺りを気にしながらもミノーを追い、やがて逃げるように岩陰に隠れた。
今日は同じシーンに何度も遭遇している。
とりわけ、二段堰堤のプールでは尺超えかと思われるほどの大型が動いた。
不思議なことに、どの魚も一投目で現れ二投目以降には絶対に姿を見せないのである。




浅く、狭い場所にも良型は潜んでいる。
川幅2メートルにも満たない小場所をトレースすると、中央からイワナが飛び出しロッドを揺らした。
こんな小さな場所にも良型が隠れているのだ。
流れの中を不器用に横切るミノー、それを襲うイワナ、すべてが足元で繰り広げられる光景だ。
クリアな水を通して一部始終を目撃できるサイトフィッシング、そのエキサイティングな釣りは大川のビックフィッシュに勝るとも劣らない。




二の足林道まで釣り上がり、トレイルロードを使って林道終点まで引き返す。
さらに徒歩でマス釣り場の数百メートル下流へ行き、そこから再入渓する。
結果はすぐにでた。
アップサイドにキャストされたミノーが水中で弧を描く、その頂点に達したところで魚信を感じた。
足元に寄せて見ると体側に朱色の点、この魚はブラウントラウトと言うそうだ。
初めて釣った。
なんだかクサフグのような顔つきで愛らしい。
おそらくは上流の管理釣り場から流れてきたものだろう。
するとさらに下流にはビックトラウトが多数生息しているのではないか。




そこで県道よりも下流にある石段から、広い川原に降りてみた。
生活排水が流れ込んでいるにもかかわらず、透明度は悪くない。
大きくえぐれた淵、深い瀬、両サイドに茂るブッシュも魚の恰好の隠れ家になる。
残念ながら、僕は1キロほど釣り上がっても反応を出すことができなかった。
しかし、大物が得意なアングラーが周辺を探ってみると面白い結果が出るのかも知れない。

県道をとぼとぼ歩き、上流に止めた車まで戻る。
シューズを見るとヒルがはりついていた。
スパッツをめくるとさらに多数!
県道ですれ違う住民や市役所職員に異様な目で見られつつも、チェストハイウェーダーを履いた僕は、身体のあちこちに付いたヒルをはらうのだった。