2006/08/30  ヤマメヒットの動画撮影に再び成功した
「うっ」と思わず息を飲む。
ミノーを追ってきたのは大イワナ、尺は優に越えている。
僕はゆっくりと後ずさりをして、後続のTABO氏に合図を送った。
「デカイのがいます、キャストしてみて!」
彼は静かにポイントに近づき、taki_minnowを振り込んだ。
時折ロッドディップを揺らしつつ、テンポ良く引いてくる。
しかしノーフィッシュ。
ミノーは何事もなく回収されたが、目を丸くした彼は少し興奮ぎみに言った。
「ほ、ほかにもいます、デカイですねー」
もう一度キャストしようとする彼に向って、「taki_minnowなんか使わないで、Dコンタクトの方が良いのでは?」などと言ってしまった。
先日市販ミノーのテストをしてその質の高さを知り、彼が勝負をするならあのミノーが最良だろうと考えたのだ。
それでもTABO氏は、僕のミノーを使ってくれた。
もはや何を投げてもイワナは出てこなかったが、自分の作品が信用されていることを知って実に嬉しく思えたのである。



大岩を這い上がり、上流に向って釣り進む。
高い場所から下流に向ってキャストすると20センチ弱のヤマメが釣れた。
今回のミノーはいい。
金属リップのほどよい重さが、ヘッドの浮き上がりを押さえてくれる。
高所、しかも早瀬のダウンでも飛び出すことなく泳いでゆく。
そのオレンヂ色の背をめがけて、アタックしてくる魚影が見えた。
ブルブルブル!
大岩の遥か下で銀色の水しぶきが舞う。
グイと引き上げれば、白い腹が空中をもがきながら上がってくる。
どんなに暴れてもサスペンションフックがそのパワーを吸収し、魚はフックを振り払うことができない。
渓流taki_minnowがもうすぐ完成の域にあると感じる瞬間だった。




上流を行くTABO氏もなかなか好調である。
彼の使っている短くて硬いロッドは山岳渓流マンこそ扱える一品ではないだろうか。
腕の周囲360度をフルカバーできる短さ、そしてミノー任せにすることなく、ロッドワークでアクションを作り出せる硬さを兼ね備えている。
彼は対岸にキャストし、トゥイッチでアピールさせ、中央の沈み石の下から良型を引き出していた。
キャスティングとリトリーブ、その一連の流れを自分でコントロールできれば、釣りが能動的で一層楽しいものになる。
長いウルトラライトを使っている僕は、うらやましくなって思わず聞いた。
「高いですか、そのロッド?」
「ええ、高いです」




中流域の大きな滝の下、四畳半ほどのプールにワンキャストしただけでヤマメが釣れた。
多分まだいる。
セカンドキャストは、やがて来る後続者のために取っておいた。
「TABOさん、ここはいいポイントですよ、ビデオを撮るから恰好つけてキャストしてね」と僕が言う。
「えっ、そんなぁ、緊張しますよ」
「いいから、いいから、何も怖くないってば・・」照れる俳優をなだめつつファインダーを覗く。
「スタート!」
滝の前で二枚目俳優がロッドを振る、「ん〜、いい絵だ」
「おっ、根掛りか?」
「あっ、違う!釣れてる!」
今度は撮影者が緊張してきた。
カメラを構える腕が震える。
最後に魚の顔を撮って終了、俳優も撮影者もスッと力が抜けた。
さっそく、再生してみる。
「撮れてる!やった、やった、やったぁ!」
いい年をした男二人が山の中ではしゃぎ回る。
小降りだった雨がしだいに強くなってきた。
大切なカメラを濡らしてはいけない、「もう帰りましょう」
駐車スペースまで戻ると土砂降りの雨、ハンドルを握りながらもニヤニヤしてしまう。
ふたりとも社会復帰は当分先になりそうだ。

それではお楽しみください、TABO氏 とtaki_minnow の鮮やかなフィッシングシーンを!