2006/09/10  幼魚の群れる川

実績のあるルアーほど連続して使われることが多い。
同じように、ヒット経験のあるフィールドには何度も足を運んでしまう。
僕が選んだのは先日良い思いをした早戸川、もしかしたらまた複数釣果があるかも知れない。

フラットな早瀬へキャスト、そのままスローリトリーブ。
流れゆく落ち葉をかわしながら僕の相棒が足元に戻ってくる。
それを数回繰り返した後、沈み石の前でテールを踊らせると黒い影が襲ってきた。
良型のヤマメがしぶきを上げながら抵抗し、少しずつこちらに引き寄せられてくる。
この瞬間が一番心地よい。
フックやミノーを作ることは僕にとってかなりの負担だ。
しかし、すべてはこの感動があるからこそ乗り越えられるのである。



その後、残念ながら釣果を見ることなく布川へ移動。
中津川合流付近にある大きな溜り、そこには数多くの稚魚が群れていた。
3センチほどの孵化後間もないものから、7センチ前後の幼ヤマメまで団体で泳ぎ回っている。
ミノーを投げてみるとワーっと全員が追ってきた。
このまま誰にも獲られることなく、来シーズンには成長した姿が見られるだろうか。

林道から大きな声が聞こえる。
若者が複数、崖から降りてきた。
一人がBBQセットを抱え、他の数人は渓流竿を手にしている。
ラインには派手な目印がいくつも付けられていた。
男から声をかけられる。
「釣れましたか?」
失礼だが、見た目以上に紳士的なようである。
キャップには真新しい遊漁券が結び付けられ川風になびいていた。
「僕も来たばかりですよ」 と言い返すとさっさと川上へ歩き出す。
僕は人と交わるのが少しだけ苦手だ。




大洞キャンプ場まで釣り上がったが一尾も出ない。
すべて釣りきられてしまったのか。
入渓してからトゥイッチを連発していたが、それをやめてみる。
着水後にゆっくりとタダ巻きで引いてくる。
すると、石の下から魚が飛び出しミノーを食った。
プルプルプル!
体長14センチ、かわいいイワナである。
どうやらこの川の魚たちは、僕のトゥイッチに脅えていたようだ。




通らずまで来て小イワナ2尾という釣果に失望する。
「ふぅ」小さく溜息をつき、そのまま川を下ることに決めた。
戻る途中で例の溜りを覗いてみる。
稚魚たちは相変わらず楽しそうに群れていた。
「あの若い釣り師たち、幼い魚を残してくれた・・・」

釣果が続かなくても、大物に出会えなくても、繰り返し訪れてしまう川もある。