2006/10/12  魚と遊ぶ感覚
チェストハイウェーダーを履き、ロッドをかかえたままハンドルバーを握る。
K川へのアクセスは自転車が便利だ。
この林道には急な上り坂はなく、むしろ緩い下りが長く続く。
サドルに腰をかけていれば、短時間で流れ込みまで到着できるのだ。




宮が瀬湖のバックウォーター付近に駐輪した後、しばらく川沿いを歩く。
例年なら色づいた葉を所々に見かける季節だが、今年の山々は依然深い緑を保っている。
適当な場所を見つけて入渓、最初の淵にミノーを投げる。
小さな魚がスッと動いた。
放流さえない小渓流、釣り人の足跡もたくさん残っている。
その中でしっかりと生命が育まれているのは喜ぶべきことだろう。
このような川では100パーセントリリースを心がけたい。
今日投げるミノーのサスフック、そのバーブはすべて潰した。




上流へ釣り上がる。
小さな落ち込みも隈なく探ってゆく。
どうやら魚は淵や深瀬のたるみにいるようだ。
しかし彼らはミノーの着水と同時に飛び出すも、別の方向へ走り、そのまま岩陰に姿を消してしまう。
小渓流用に製作したtaki_minnowミニ(3センチ)をキャストしても、Jun_Minnowをキャストしても同じ結果だった。




山深いK川、その中流部には鉄パイプ製の巨大な人工物がある。
自然の中でミスマッチな景観だが、魚たちにとっては絶好の住みかに違いない。
鉄パイプの隙間を狙ってキャスト、そのままゆっくり引くと大小数尾の渓魚が追ってきた。
しかし水流に流されるミノーをその場に留めておくことはできない。
20センチはあろうかという魚が、その鼻っ面まで近づいたというのにミノーが浅瀬に乗り上げてしまった。
再度同じ場所にキャストしたが、残念ながら二度と追っては来なかった。

さらに上流、大きな岩が流れを阻み、そこにたっぷりとした淵ができている。
遥か前方にキャストすると魚が散り、その中の1尾がミノーをかすめて行った。
再度キャストするとブルブル!
そしてふっと軽くなる。
バラシはしたが、面白い。
こんな小さな沢で魚たちが姿を見せてくれ、時折僕の相手をしてくれるのだ。
次のステージを求め、遡行もおのずと早足になる。



藪を掻き分け、岩をよじ登り、時には腰まで水に浸かってもさらに上流を目指す。
細くなった流れが大岩の上がら勢いよく落下している場所。
その下の深い溜まりにミノーを落とし、ほんの少しロッドを煽ったところでゴンときた。
フロントフックを咥えて躍る16センチのヤマメ、腹は卵でパンパンに膨れていた。

その後、小さなヤマメを追加して本日の釣果は二尾。
だけど元気な魚たちと遊ぶことができて、僕はすっかり上機嫌だ。
帰り道、緩やかな上り坂を自転車でゆく。
今日の場面を思い出しつつペダルを蹴れば、ダラダラ坂も不思議と軽く感じられた。