2007/04/27  ギャラリーに泣く
林道沿いを流れる早戸川、その川原に立って下流へキャストする。
超スローに巻くだけでtaki_minnowは激しく首を振りながら上流に向う。
その下から黒い影がゆっくりと迫り、ギラリと光った。
ポツン・・。
ヤツはフックを咥えたが一瞬で外し、川底へ姿を消したのである。




「キッ!」
(歯を食いしばりながら叫ぶとこうなるのだ)
もう一度挑戦だ。
ダウンストリームにキャストしてしばらく待つ。
ミノーの姿勢が落ち着いた頃合をみはからってハンドルを巻く。
少しずつ、さらにゆっくりと・・・。
ここで魚が出てくるはずだった。

ところがフライマンが二人、林道から顔を覗かせた。
白い帽子をかぶってニヤニヤ笑い、ガードレールに寄りかかってこちらを見ている。
彼らが立っているのは、さっき魚が出た場所の真上だ。
魚は底から水面を見上げているに違いない。
そんな場所で白い帽子にフラフラされては渓流魚が警戒してしまう。
僕は男達をじっとにらむ。
「うせろ!」
アゴでそう合図した。
それでもそいつはニカニカ笑い、こともあろうに僕に手を振るのだ。

「やれやれ・・」フックで水滴をぬぐいながらtaki_minnowが帰ってきた。
「ほら見ろ!」
僕は改めてまた林道へ目をやる。
しかしそこにはもう誰もいなかった。




いつもはアップストリームにキャストしている僕なのに、今日はダウンが面白くて仕方ない。
当初はテクニックなど使わずにタダ巻きさえしていればガツンとくるだろうと高をくくっていた。
しかし意外にも繊細かつ神経集中が要求され、一筋縄ではいかない釣りだったのだ。




小型トラックほどの岩が転がる場所、白泡や垂水のポイントがいくつもあり思わずニヤけてしまう。
急深の流れにダウンストリームキャスト、じりじりとミノーを引いてくる。
コツン・・
かすかに魚が触れ、銀色の腹を反転させながら去っていった。
「いるぞいるぞ〜」
心が躍る。

ところがどうだ、崖から人が降りてきて蛍光色のtaki_minnowに近づきジッと見ているではないか。
どうやら通りがかりの観光客らしい。
僕は魚のオモチャを泳がせて遊んでいるわけではない。
このミノーは今まさに渓流魚を誘っている真っ最中なのだ。
彼は大切なポイントの前を歩き、僕に向って聞いてきた。
「かかる?」
大岩に身を隠して小さくなってリトリーブしている自分がバカバカしくなってきた。



その後、フライマンに覗かれた例のポイントに戻る。
そこには誰もいなかった。
しかし魚がいることはわかっている。
この場所でtaki_minnowはすでに見限られているかも知れない。
僕の切り札、mog_minnowに替えてキャスト!
あっけなく良型のヤマメが釣れた。
(この様子はビデオに録画してあるのでトップページに戻って見てほしい)

今日はミノーイングを珍しそうに見てゆく行楽客数名に遭遇、
すでにゴールデンウイークは始まっているのか?!
明日からは焼き肉の匂いと水遊び客で釣りにはならないだろう。
川は誰のものでもない、みんなのものだ。
そして何をしようと自由な場所である。
ただ、次に来るときに大量のゴミが残されていないことだけを願っている。