2007/06/09  初めての懐かしい川
少年の頃、僕の自宅付近には湧き水があった。
そこから流れ出す川の両岸には、セリなどの水辺植物が茂っている。
川に立ち込み、草の下に調理用ザルを入れてザブザブ探ると魚が獲れた。
ザルの中には魚に混ざってエビやカニ、その他の水生生物もたくさん入る。
それを見るたび、僕らは歓喜の声を上げたのもである。

残念ながら東名高速道路開発とともに、その素敵な遊び場も消滅してしまった。
今でも水は湧き出ているが、コンクリート4面張りの水路と化して、どこかのドブ川に注がれているに違いない。




渓流釣りに出かける途中、その頃と同じような風景に会うことがある。
田んぼの横を流れる小川、
「魚いるかな?」
気まぐれに降りてみた。
水はクリア、しかし生活排水も流れているのだろう、少し臭う。
僕の背丈よりも高い草が生い茂る。
その中を幅2メートルほどの流れが続いてゆく。
ミノーを引けば釣れそうな気配だが、草とクモの巣が邪魔をしてキャスティングは不可能だ。
そんなポイントをいくつもスキップして広い場所に出た。




護岸の上には住宅設備業者の資材置き場がある。
そこから崩れ落ちた機器の残骸、橋の上から投げ捨てられたゴミの数々。
キャストしてみると、悲しいことに魚が数尾追って来た。
環境はどうであれ魚のチェイスには興奮する。
もう一度投げると再度追って来た。
そこでリトリーブを止め、ロッドの先を微妙に振るわせるとヒット!

「釣る」と言うよりも「拾う」感じに近かった。




これだけ草が茂り、虫が飛び交う里川だ。
豊富な餌をほおばりつつ、多数のヤマメが生息しているに違いない。
俄然やる気が出てきた。
水をかぶりながらも堰堤を越え、クモの巣に絡まりながらもキャストする。
気がつけば川の両サイドに民家は無く、山深くなってきた。
越えられない堰堤は、長く険しい獣道を進んで巻く。
腰をかがめ、右手には武器(ロッド)を持ち、まるで戦士のようだ。
しかし、あれ以来魚が出ることはなかった。



力尽き、川から這い上がる元気も無い。
両岸に立ちはだかる護岸を見上げながら考えた。
今回は草やクモの巣のために見送ったポイントも多かった。
もしかしたらそんな場所に大物が隠れていたかも知れない。
これから雨の季節を向え、さらに雑草は伸びるだろう。
虫も増え、マムシの恐れさえある。
次回はぜひ、解禁直後にこの場所を訪れ、のんびりと「春の小川」を味わいたい。
そして釣れたら大声でわーいと叫ぶ・・。
男なんていくつになってもそんなものだ。