2007/07/29  蒸し暑い渓で、さわやかな出会い
じめっとした不快な暑さ。
雲の切れ間から差し込む太陽は、容赦なく川原に照りつける。
梅雨の湿った草花が暖められ大量の水蒸気を発している。
むせ返るほどの湿気に首筋を濡らし、それが実に気持ち悪い。
川に立ち込んでいる間は快適に過ごせるので、どんなポイントにも不必要にウェーディングしてしまう。
だから僕の周囲に魚は寄りつかない。
この時期に釣果を得たいなら、高温多湿の亜熱帯的気候に対応できる体力が必要だろう。



早戸川の渓相はすばらしく、水もクリアである。
苔や太い蜘蛛の巣がミノーの行く手を阻むこともない。
ヤマビルも少ない。
普段僕が行く小渓流にくらべると、とても釣りごこちの良い川と言えるだろう。
ただ、残念なことに魚が少なく、放流のない時期には釣果ゼロも有り得る厳しい川でもあるのだ。

新しいロッドに試作ミノーを取り付け泳がせてみた。
重たく、着水音にも重量感がある。
引き抵抗は従来のtaki_minnowよりもさらに大きい。
改良の余地はまだまだあるが、ロッドアクションに対するレスポンスは向上したようだ。




直径10mほどの大きな溜り、落ち込む水は白泡となって深い場所へ消えてゆく。
対岸に打ち付ける白波の中に不自然な水の変化を見つけた。
「ライズか?」
狙いを定め、その場所へキャストしてみる。
すると体高のある試作ミノーはヒラヒラとアピールしながら水中を舞う。
ロッドをわずかに煽るとググッと来た。
「でかいのか?」
途中、溜りの中央でディップが引き込まれる。
「面白い!」
いつもはカツオの一本釣りのような取り込みしかできず、このようにプロセスを楽しむのは稀なことだ。
おそらくは新しいロッドが一役かっているのだろう。
無事に足元に引き寄せると若干22センチのヤマメ。
洗濯機のような水流に住む魚はあきらかに引きが違っていた。




「釣れましたか?」
通りがかりの車から声をかけられた。
にっこり笑う若いお兄さん、彼の助手席にはフィッシングロッド、後部座席には赤ちゃんを連れた美人の奥さんが乗っている。
「やっと1尾釣れました、厳しいです」
僕は似たような状況に何度も遭遇しているが、ほとんどの奥さんは男同士が話ているのを横目に黙っている。
しかし彼女は違った。
「主人はカーディナルが好きで集めているんですよ」などと気さくに話してくれるのだ。
僕の釣果が思わしくないことがわかると、彼らはそのまま引き返してしまった。



「かわいそうに・・」
せっかくファミリーで遊びに来たのに「釣れない」などと言うべきではなかったかも知れない。
渓流ルアーを親子で気軽に楽しめるような場所、つまり、ピクニックも可能なC&R区間などが東丹沢に存在してもいいのではないか。
立派な施設やコンクリートで固めた通路などは必要ない。
自然を残しつつそれでいて魚影の濃い、夢のような区間があればなぁと思うのである。