釣れた瞬間うぉーって叫んだ

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若い頃の僕にとって渓流釣りとは冒険だった。
本流を釣り、支流を試し、さらにはその枝沢にも入ってみる。
そんな小さな流れに魚がいるはずもなく当然何度もボウズをくらう。
しかし渓に包まれる心地よさと上流への探求心、それだけで十分豊かな気持ちになれたのである。

稀に大当たりすることもある。
足首くらいの流れの中からイワナが狂ったように飛び出してくる。
その快感は女性とのそれより上、何百万ドルもの金塊を掘り当てたのと同じくらいの喜びだ。
大袈裟?
普通の人にはそう思えるかも知れない。
でも釣り人なら理解してくれるでしょう?

年齢を重ねた今では冒険チックな高揚感はもうない。
しかし何百万ドルとはいかないまでも今回かなり嬉しい体験をした。

入渓してすぐに小さなイワナが顔を出す。
「魚影が濃いな」そう思った。

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ところがそこから先は何も出ず、ただただ水が流れるだけ。
深い淵や滝はいくつもあるのにどの場所からも生物的反応が聞こえてこない。
上流に進むにつれ流れは次第に細くなる。
小さな落ち込みにtaki_minnowフローティングを投げ入れた。
何度も修理を重ねてボロボロになったミノーだ。
流れをクロスに引いてくる。
すると黒い影がぶわっと出てきた。
ワッシワッシと尾を振りつつ鼻っ面でミノーを確認しているようだ。
やがて獲物が岸に乗り上げ動かなくなるのを見てからゆっくり引き返していった。
その余裕から警戒心は感じられない。
「こりゃもう一度追ってくるな、動画撮ろうかな、ビデオをセットしようかな」
いや、経験上直ちに再キャストするべきである。

するとほら!
出てきた!
追ってくる!

食いそう、あっ、食うかも、食え!

食った!

このサイズのイワナなど過去に何度も釣っている。
しかし川幅に似つかわしくない大きさ、そして綺麗な紫、もう大満足だ。

単に魚の数や大きさではなく、まして道具やスキルでもない。
魚釣りで自慢できるものは「どれだけ楽しんだか」その一言に尽きる。