taki_minnow_Water Storage System

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動きの軽いノーシンカーミノーがほしい。
でも本体が軽すぎると投げた後にヒラヒラ舞って落ちるだけ、飛距離も出ない。
小渓流なんだからヒラヒラしてても飛ばなくてもいいじゃん?
そんなことは無い。
例え5メートル先のポイントへキャストするにしても蜘蛛の巣を突き破り重々しくビシッと決めたいシチュエーションだってある。
着水と同時に外れるオモリみたいなの無いかなぁ・・。
まてよ、水があるじゃん、水腹にすればいいんだよ。
しかも今立っているフィールドの水と同じ比重ならアクションの邪魔にもならないんじゃないか?

例えば空のバケツを放り投げても3メートルしか飛ばないが水を汲み上げた後に投けると10メートル先まで飛んでいく、あのイメージ。

IMG_20180331_182650049.jpg

では「どうやって体内に水を溜めこむか」それが一番の課題だった。
ミノーの正面に取水口を設けるのが一般的な考え方だろう。
しかし本体に開けられた穴に対する水の抵抗は半端なものではない。
例えばバケツを抱えて川に入り、穴の開いた方を下流側に向けて上流に向かって歩けばかろうじて前に進むことができる。
しかしバケツを逆に抱え、穴の開いた方を上流側に向けて上流に向かって歩こうとしても強い水流に押されて立っていることすら難しいはずだ。

この水抵抗を利用することで本体に開けた穴をリップの代用として使う手段もある。
これは以前 K++さんに「1秒で1メートル沈むミノー」を頼まれた時に実証済みだ。
しかしあれはシンカーを入れたシンキングだから出来たワザ、ノーシンカーミノーでは軽すぎて穴の抵抗利用だけでは体勢を維持することが難しい。
そこで軽い本体を安定させるためにリップが不可欠となる。

リップを取り付けてしまうと正面には給水用開口部を設けるスペースが無くなる。
そこで給水用の穴はベリー後方に開けることにした。

4センチwssルアー20171122_0000.jpg

しかし何度実釣テストを繰り返しても、穴の位置がベリー後方では十分な水量を溜め込むことができず、飛距離の伸びもわずか30センチ程度と満足のいく結果は出なかった。
さらにポイントへのアクセスも弱々しく紙切れのように水面を舞い降りる姿は惨めなものだ。

やはり大量に給水するためには前面開口部を設ける以外に道はないと判断。
当然強い水抵抗を受けることになるだろう。
その上リップによる新たな抵抗を生み出すのだから良い泳ぎをするとは思えない。

念のため「全面に給水穴を設けたノーシンカーWSS」を作って試してみることにした。

IMG_20180331_162255944.jpg

試作したのは写真のミノー、おでこに取水口がある。
さっそく水流に放り込んでみる。
しかしダメ。
まるで鳥がクチバシをつつくような動きをするだけだ。
リップ形状や位置を変えても同じ状態。
試しに穴を塞いでみると普通にウォブリングした。
つまり「前面穴が生み出す水抵抗がスイムに悪影響を及ぼしている」ということは確実である。

どうしても要求される二つの条件。

1.給水穴は全面に必要

2.リップが必要

しかし単純にこれらを設置しただけではクチバシ泳ぎしか得られない。
どーすれば良いのか。。
そうだ!
取水用開口部をリップで隠してしまえば抵抗値はかなり減るだろう。

これまでの経験を集約してやっと生み出された作品が一番上の写真である。

今回これを持って実釣テストに行ってきた。

体内に水を入れると水を入れていないときに比べて1.5メートルから2メートルほどより遠くへ飛ばすことができた。
接近戦の場合においても重々しく突き刺すようにポイントへ飛んでゆく。
ロッドを下げて巻くと川底を這い、ロッドを立てると水面下を踊るように通過する。
ただ手に伝わるカタカタという感覚はミノーが素直にスイムしている証拠だが、その振動が大きすぎて魚信への対応が遅れてしまいそうだ。
水中カメラで撮影した映像を確認したところ落ち込み直下に浮遊している魚はWSSに見向きもしていなかった。
さらに深場では直線的に進んでくれるものの、浅瀬では底石に当たるや否や方向転換してしまう。

たくさんの課題と共にノーフィッシュのまま渓を下る途中、川に立ち込む餌釣り師を見つけた。
彼はルアーマンなら狙うことのない、あるいは狙っても期待しないであろう小さなポイントでじっと当たりを待っている。
「あんな小さな場所にあれほどの時間をかけるのか」
彼らは実績があるからこそ小さなポイントでも粘っていられるのだろう。

そこで僕も座布団クラスの浅い溜まりにキャストして「5センチ動かしては待つ」というのを繰り返してみた。
すると石の隙間からヤマメが現れ威嚇してくるではないか!
「あっ、出た!」
やっとまともに魚が見れた。
もう一度キャストするとまた出てきた。
何度かそれを繰り返して釣れたのが写真の魚、その後も次々と小さな場所からヤマメが飛び出してきてくれた。

IMG_20180401_165948231_BURST000_COVER_TOP.jpg

ダメだと思っていた今日の釣果が一転嬉しいものへと変化した。
それではWSSは良いプラグなのか、そう聞かれれば「わからない」と答えざるを得ない。
たまたま魚のスイッチが入る時合だったのか、僕自身が使い方に慣れたのか。
今後の釣行で判断したいと思う。

最後にもう一つ欠点を言うと、耐久性はかなり良くない。

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この辺も大きな課題となるだろう。
苦労もあるがなかなか楽しみでもある。